プロ野球トップクラスのバッテリーから二盗は可能か。その目安となるタイムとは。バッテリーのミスが無い(ベストタイム)と仮定した場合「誰も盗塁できない」という結論に※久保康友投手 0.99秒+甲斐拓也捕手1.71秒=2.70秒に対し、赤星憲広=3.20秒=+0.50(秒)で盗塁失敗
プロ野球トップクラスのバッテリーから二盗は可能か
「プロ野球の一流バッテリーから二塁へ盗塁できるのか」
結論から言えば、バッテリーがミスをしなければ相当厳しい
という事になる。
盗塁阻止=「バッテリーの共同作業」
投手のクイック(クイックタイム)がはやくても、
捕手が遅ければ盗塁を阻止する事はできない。
当然だが、逆もまたしかりである。
(投手のクイックが遅かったら、捕手がはやくても×)
【具体例】
具体的な数字で説明すると、「スーパークイック」こと
久保康友投手(元ロッテ)のクイックタイムは0.99秒といわれている。
一方の捕手。
強肩で知られるソフトバンク・甲斐拓也捕手の二塁送球最速タイムは1.71秒といわれる。
久保と甲斐がバッテリーを組んだと仮定した場合、
二塁送球までの(最速)タイムは2.70秒となる。
※プロの捕手は2.00秒以下で『スローイングがはやい』、『強肩』と呼ばれる事がある
この数字(2.70秒)がどれほどのものなのか
という事を理解していただくため、さらに具体的な数字で解説していきます。
一塁ランナーには元阪神のスピードスター・赤星憲広外野手と仮定する。
赤星は球界トップクラスの盗塁技術を持ち、「盗塁=赤星」というイメージを持つ野球ファンも多いのではないだろうか。
そんな赤星の二盗のタイムは(約)3.2~3.3秒といわれているが、仮に3.20秒だとしても「盗塁失敗」という結果になる。
つまり、このバッテリー(久保・甲斐)からは誰も盗塁ができない
と言う方程式が出来てしまうのである。
※バッテリーのミスが無い場合(ベストタイムの場合)
赤星 = 3.20
= +0.50 (秒)
=盗塁失敗
盗塁阻止はバッテリーと「内野手」の共同作業
盗塁阻止=「バッテリーの共同作業」と言われる事がある
が、更に詳しく言えば「バッテリーと内野手の共同作業」という方が正しいかと思われる。
その理由は最終的にランナーをタッチするのは「内野手」だからだ。
例外(特殊なシフトなど)を除けばタッチする内野手というのは
二塁手または遊撃手。
このランナーをタッチする内野手のグラブの動きが遅かったり、
タッチするポイントがずれたり、捕球ミス等をすればアウトのタイミングでもセーフになってしまう。
以上の事から
盗塁阻止=「バッテリー」+「ランナーをタッチする内野手」の共同作業といえる
古田敦也はシーズン最高盗塁阻止率.644の記録を持つ
ヤクルトスワローズ・古田敦也捕手は「ヤクルト最強捕手」、「平成最強キャッチャー」
とも言われる程の名捕手。
古田は捕球から送球までの動作が素早い事に加え、
強肩の為、送球タイムは1.80秒を切っており、
トップクラスのスローイングが早い捕手だった
赤星憲広の走力は球界トップクラス
愛知県立大府高
亜細亜大
JR東日本
阪神タイガース(2001~09)
愛知県立大府高校入部当初は右打ちだったが、監督のすすめで左打ちに転向。
1年秋にレギュラーとなる。
高校時代のポジションは内野手(遊撃手、二塁手)。
大学1年秋には三塁手のレギュラーになったが、
2年春に外野手へコンバート。
2000年ドラフト4位で阪神に指名される。
ここでポイントとなるのは当時の監督・野村克也氏の存在である。
担当スカウトは赤星に対し『足だけ』と評価、
するとノムさんは『同点の9回に代走で使う』という理由で赤星の獲得を決めた。
足のスペシャリストが重要となる場面もあるという野球を知りつくしたノムさん流の決断であった。
【プロ入り後】
プロ入り後は代走どころかレギュラーで起用される。
野村監督は赤星に
『三遊間に転がせ』
『出塁率を上げろ』
と指導。
打撃練習ではゴロばかり打つ練習を実施し、
プロ1年目には盗塁王を獲得した。
(128試合に出場、524打席、打率.292、盗塁39)
赤星の武器と言えば何といっても『足』(走力)。
一塁到達タイムは3.74秒、
バント時には3.50秒
を記録したといわれるほど、アシのはやさは球界トップクラスである
【一塁到達タイムDATA】
メジャーリーグ『MLB一塁到達タイムランキング(2016)』
1位はロイヤルズの「ビリー・バーンズ」外野手の3.83秒。
(5位はマーリンズのイチロー外野手で3.94秒)
※一塁到達タイムのデータは「バント以外」で打席から一塁まで全力疾走した際の「平均タイム」を算出したもの。
最低75打席で全力疾走した選手が対象
一塁到達タイム
野球をしているのなら知っておくべき「一塁到達タイム」。
自分の一塁到達タイムを知っている事は大きなメリット(打撃の選択肢が増える)といえるだろう。
一塁到達タイムとは
『バッターが(ボールを打った後に)一塁ベースに到達するまでに何秒かかったか』
をあらわす数字である。
このタイムが4.00秒以下であれば「俊足」と呼ばれる事がある。
【一塁到達タイムを知るメリット】
自分自身の一塁到達タイムを知る事でえられるメリットは大きいと考えられます。
特に俊足選手は知っておいて損はないでしょう。
プロの世界では俊足をいかし試合に出続けている選手もいます。
言い方をかえると「転がすだけ」、「当てるだけ」のバッティングでヒットを打ちまくる選手も存在しているのです
MLB一塁到達タイムランキング(2016)
メジャーリーグ『MLB一塁到達タイムランキング(2016)』によると、
一塁到達タイム1位はロイヤルズの「ビリー・バーンズ」外野手の3.83秒。
2位はマーリンズのディー・ゴードン内野手の3.86秒、
3位はレッズのビリー・ハミルトン外野手の3.89秒、
4位はレイズのケビン・キアマイアー外野手の3.94、
5位はマーリンズのイチロー外野手の3.94。
※イチローは100分の1秒までは4位キアマイアーと同じ3.94秒で、5位にランクインした。
以上のランキングはMLBの『スタッツキャスト』と呼ばれる最新鋭テクノロジーによるもの。
野球に関する様々なデータを詳細に解析し、あらゆる部門のトップ5を紹介している。
一塁到達タイムのデータは
バント以外で打席から一塁まで全力疾走した際の「平均タイム」を算出したもの。
2016年に最低75打席で全力疾走した選手を対象にデータ化し、ランキングにしている
1位 | 3.83 | 外野手 | 両打 |
2位 | 3.86 | 内野手 | 左打 |
3位 | 3.89 | 外野手 | 両打 |
4位 | 3.94 | 外野手 | 左打 |
5位 | 3.94 | 外野手 | 左打 |
ビリー・バーンズ
ビリー・バーンズ (Billy Burns)
ウィリアム・ジョン・バーンズ (William John Burns)
アメリカ合衆国ジョージア州出身
右投両打
外野手
身長:約175cm
体重:約81kg
2008年のMLBドラフト16巡目(全体490位)でアトランタ・ブレーブスから指名されたが大学へ進学。
その後、11年MLBドラフト32巡目(全体967位)でワシントン・ナショナルズから指名された
ディー・ゴードン
ディー・ゴードン (Dee Gordon)
ディバリス・ゴードン (Devaris “Dee” Gordon)
アメリカ合衆国フロリダ州出身
右投左打
内野手
約180cm 約77kg
08年MLBドラフト4巡目(全体127位)でロサンゼルス・ドジャースから指名。
走力が最大の武器。遊撃手として広い守備範囲と強肩を併せ持つ。
野球を始めたのは高校から。
ゴードンはそれまでバスケットボールをしていたが、
自分の小柄な体格ではNBAを目指すのは難しいと考え、05年に野球を始める。
本格的にプレーし始めたのは06年。その頃からバスケはやめ、野球一本で勝負することを決意した異色の経歴をもつ。
父はフラッシュの愛称で知られた元メジャーリーガーのトム・ゴードン。
弟はミネソタ・ツインズ傘下所属のニック・ゴードン
ビリー・ハミルトン
ビリー・ハミルトン(Billy R. Hamilton)
アメリカ合衆国ミシシッピ州出身
右投両打
外野手
約183cm 約73kg
09年MLBドラフト2巡目(全体57位)でシンシナティ・レッズから指名
高校時代から俊足が武器。
高校時代には右打席から一塁ベースまでのタイム3.78秒を記録。
さらに救援投手として最速約148キロを投げる強肩
プロ入り後、スイッチヒッターに転向。
12年にマイナーでシーズン155盗塁を記録
※同姓同名で1866年生まれのビリー・ハミルトン外野手がいる(MLB歴代3位の914盗塁の記録を持つ)
ケビン・キアマイアー
ケビン・ジェームス・キアマイアー(Kevin James Kiermaier)
アメリカ合衆国インディアナ州出身
右投左打
外野手
約185cm 約89kg
10年MLBドラフト31巡目(全体941位)でタンパベイ・レイズから指名
イチロー
本名:鈴木一朗 (Ichiro Suzuki)
1973年10月22日生まれ
愛知県西春日井郡豊山町出身
右投左打
外野手
約180cm 約79kg
91年ドラフト4位でオリックスから指名。
言わずと知れた世界のヒットメーカー
※MLBシーズン最多安打を記録(262安打)。
※プロ野球通算安打世界記録でギネス世界記録認定(NPB・MLB通算4257安打)
※2019年3月に現役引退
※NPB初出場:92年7月11日
※NPB最終出場:00年8月27日
※MLB初出場:01年4月2日
※MLB最終出場:19年3月21日
【ランキングから読み解くイチローの凄さ】
一塁到達タイムランキング(2016)1位~4位はアメリカ合衆国出身選手。
さらにこの四名は選手の全盛期とも言われる20代後半。
その中に「40代」の日本人選手イチローがランクイン。
このデータからも、いかにイチローが凄い選手かがわかる